歯科医院におけるコロナの院内感染について

  • 2020年04月26日

実際のコロナ感染で一般歯科開業のクリニックにおける院内感染数はどうなの?

某ディーラーが都内の歯科医院 約2,500件を対象とした緊急調査を行いました。(※2)

4/11での速報値ではありますが、ご参考にして頂ければと思います。

患者様から新型コロナウイルスの感染が報告されたクリニックは1件(罹患者:40代女性)

つまり 都内 開業歯科医院のコロナ発生頻度は 0.04%程度です。

1年間で日本人が交通事故にある確率は、約0.9%であるとの調査結果があります。(※3)
これらを比較すると、歯科医院内での感染率の低さをご理解いただけるかと思います。(※2)

ちなみに上記のクリニックは4月11日現在休診となっており、感染発覚から2週間経過してますが、同院のスタッフ、患者様には感染者は1名も出ていないとのことです。
また、その後の調査によると、上記の患者様はクリニックとは関係ない場所で感染した可能性が濃厚のとのことでした。
(もちろん、最終的には歯科医療従事者が一般の方や他の医療従事者と比べて感染率がどうだったかに関しては注目していく必要があると考えております。)

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4月24日 調査結果 更新
神奈川県内の調査報告が届きました。
対象歯科医院数:663件

新型コロナ感染の医院:0件(全体の0%)
自主休診をされている医院:9件(全体の1.3%)
診療時間の短縮をされている医院:54件(全体の8.1%)
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歯科医院でのエアゾールによって感染症に罹患する可能性はある?

歯科では、専用の機械で水を噴射し歯を削ったり、歯石を取ったりといった治療を行います。この際に発生するエアゾール(煙や霧のように微粒子が空気中に浮遊している状態のもの)が細菌を撒き散らすのではないか?といったご意見は以前からありました。特に、今回の新型コロナウイルス問題でより一層注目される事になったように感じます。

ここでも過去の報告において、3つの問題点に集約されます。

1)ハンドピース(切削器具)等の滅菌操作の不備
2)歯科ユニット(診療チェアー)内の水質の問題
3)唾液・血液を微量に含む可能性があるエアゾール

ここで新型コロナウイルスに関係するのは1)と3)であると思われます。
1)に関しては、ハンドピースの滅菌をしっかり行う事で解決出来ます。3)に関しては、文献等では、かなり微量で薄まってしまうので、感染症リスクは少ないのでは無いかとの考察があります。ただし、明らかな被害報告がないため不明であるというのが結論です。

以上から、我々の見解は「歯科医院が適切な感染管理を行い(以下参照)患者さんへ感染症に関する適切な情報の提供、協力を依頼し、感染症対策を徹底すれば、かなりの確率で感染症リスクを低下出来る」というものです。

◆エアゾール感染を防ぐために(※4)

1)新型コロナウイルスに感染した疑いのある患者様の治療制限を行う
2)治療前に1%過酸化水素水やイソジン等で患者様へのうがいを徹底する
3)術者は、マスク(N95もしくは、サージカルマスク2枚)ゴーグルの装着を徹底する
4)処置は可能な限りエアゾール が飛ばないような工夫を行う
5)診療は換気の良く、広い空間が確保される診療室で行う
(場合によっては診療人数の制限を行う)
6)確実な口腔内バキューム・口腔外バキュームを活用する
7)院内の空気清浄・消毒を徹底する
8)白衣等の消毒を徹底する

歯科医院の感染管理の徹底はもちろんですが、患者様のご協力が非常に重要となります。

医療物資の不足?実際は?

現在、ニュースで取り上げられている以上に歯科医療分野の医療物資が深刻な状況です。日本において、歯科医療分野で使用する物資は海外からの輸入に頼っております。しかしながら、今回は世界的な感染症拡大により、世界的に医療物資が不足している状況です。
当院では、取引企業様の努力によりなんとか備蓄をしておりますが、このままの状況が続くと今まで可能だった感染症対策が不十分となり、歯科医師や歯科医療従事者の感染リスクは高くなります。

このような困難な状況下においても、多くの歯科医療従事者が自らの危険を顧みず、患者様が感染しないよう細心の注意を払いながら必死で診療にあたっています。当院でも、現在治療を継続してくださっている患者様の感染を防ぐため、医療物資が限られている中で最善を尽くし診療をおこなっています。
色々と患者様のご希望・ご期待に添えない事もあるかもしれませんが、担当医や歯科衛生士、クリニックスタッフとご相談の上、今、出来る事を冷静に判断して頂ければ幸いです。

歯科医院への通院は自粛・延期・キャンセルした方がいいのか?

歯科の病気は【予防・早期発見・早期治療】が原則です。
一部では「歯科治療は自粛」との誤解を招く記事があるようです。こちら、正しくは「歯科治療を不要不急の要件と判断するかどうかは、患者様それぞれの治療状態によって異なる」「そのため、歯科医師と相談のうえ個別の対応」というのが現状です。(4/11現在、厚生労働省は歯科医院に対して休診を求めておりません。)

そのため、誠に心苦しくはありますが、主治医へのご相談なく患者様がご自身の判断で治療を中断された場合、今後の状況や歯科医療の混乱状態によっては、症状が悪化された場合においても適切なタイミングで適切な治療が提供出来ない可能性もありえます。必ず、担当の歯科医師や歯科医院と相談の上で今後の通医院計画に関してはご相談してください。
とはいえ、前述のように歯科医院内での感染リスクは少ない反面、クリニックに向かう途中の道のりや日常生活内で感染症に罹患する可能性はあります。
通院中の感染症リスクの予防(マスクの装着・満員電車を避ける)や日常生活で人口密度の高い空間への立ち入りを避けるといった対策が患者様ご自身では難しい場合は、誠に勝手ながら通院の自粛をお願いしております。
その他にも、持病のある方(糖尿病、呼吸器疾患といった慢性疾患)さらに喫煙者においては治療自体がハイリスクな行為となるため、併せて通院の自粛をお願い致します。

*その他、風邪症状や季節性インフルエンザの症状が原因で体調が優れない方、肝炎やHIVの感染症の既往のある方は、受診前に必ずクリニックにご相談ください。

通院を一旦休止する患者様へお願い

もし通院を一旦休止する選択をされた患者様においては、お休みの期間中に症状が悪化しないよう、以下のようなセルフケアを推奨しております。

1)歯磨き、ホームケアを徹底して行いましょう
2)十分な睡眠とバランスの良い食事を取りましょう
3)規則正しい生活を心がけましょう
4)ストレスが増えると食いしばり等の症状が発生します。マウスピース等の使用を忘れないでください
5)ご自身のお体のために禁煙を心がけましょう
6)定期的に当院のHPのお知らせを確認してください
7)休止前に必ず次回のご予約を取っておいてください

*自粛期間が明けるとご予約が集中する可能性がございます。当院スタッフと相談のうえ、2〜3週間後を目安とご予約をおすすめします。(感染症の拡大状況によっては、再度ご予約の変更をさせて頂きますのでご安心ください)

*また、自粛期間中に、当院から健康状態の変化が無いか等に関してご連絡をさせていただく場合もあります。何卒ご容赦ください。
*現在全国的に深刻な医療物資不足の為、自粛制限が緩和された場合でも物資不足から止むを得ず診療制限が発生する可能性があります。

通院を継続する患者様へ

院内での感染拡大を予防するため、体調管理を十分に行い、通院中にはマスクの着用をお願い致します。
4/11現在、大幅な自粛が進み人口密度もかなり少ない状態です。そのため、通院中の道のりでも安全確保がしやすい状況であると考えることも出来ます。当院でも来院人数の制限を行なっているものの、比較的ご予約が取りやすい状況です。

*感染症の収束後の急激な混雑による感染症の再蔓延の可能性が危惧されます。また、現在、世界的な医療物資不足も深刻な状況です。感染防止の安全を確保はもちろん、分散通院も合わせてお願いしております。
お手数をおかけしますが、日頃の体調管理や通院中の感染症予防に注意した上でご来院いただければ幸いです。
万が一体調が優れない場合には、お気軽に当院スタッフまでご相談ください。

当院からのメッセージ

みなさま体調等を崩されておりませんか?当院のスタッフは、体調管理に一層注意し一人の体調不良者もなく今日も元気に勤務しております。

現在日本は、戦後最大の危機を迎えております。同時に、全国の歯科医院は歯科医療の崩壊危機(感染危機、物資不足、経営・財務危機など)も感じていることでしょう。
ですが、全国の歯科医療に携わる人々は、この危機を必死に乗り越えるべく力を合わせております。
そして、歯科医療従事者全員が今回の危機を通じ、国民へ安全・安心な歯科医療を提供するため今まで以上に徹底した感染症対策に取り組んでおります。歯科医療の存亡をかけて今まさに体を張って感染症対策に奔走しています。
今回の感染症問題は長期にわたる可能性があります。また、日本経済への影響も大きくなる事が想定されますので、自粛と緩和が繰り返すことになるでしょう。
皆様には、歯科医療分野が置かれている現状についてご理解いただくとともに、

今後とも、当院および日本の歯科医療に対するご理解とご協力の程何卒よろしお願い致します。